第6層 どこに立って生きるのか

→ 前回の記事は「川口由一と関係としての農

世界はこれからも変わり続けていく。

技術は進み、効率は高まり、私たちの暮らしは、ますます整えられていくだろう。

農のあり方もまた、その流れの中で、大きく姿を変えていくのだと思う。

自然から距離を取り、安定と再現性を手に入れる方向と、

自然の中に身を置き、揺らぎとともに生きる方向。

どちらが正しいということではなく、ただ、異なる在り方が並んでいる。

そのあいだで、自分はどこに立つのか。

自然に委ねる、関係の中に身を置くということ。

あるいは、意図をもって整え、管理していくということ。

どの選択も、生き方と無関係ではいられない。

食べるということは、ただ栄養を摂ることではない。

どのような世界に、自分を置くのかという選択でもある。

すべてを自分で担うことはできない。

社会の仕組みの中で生きながら、どこかに、小さくてもいい、自分の手で触れられる場所を持つこと。

そこに、ひとつの手がかりがあるのかもしれない。

自然の中に入るとき、人は何かを支配することはできない。

ただ関係の一部として在る。

そのとき、自分が何者であるのかという感覚は、少しずつ変わっていく。

どこに立つのか。

それは、大きな決断としてではなく、日々の選び方の中に、静かに現れてくる。

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