作物は自生の植物とは違い、
完全放任で収穫することは難しい。
手出しのやり方は様々で、多くの農法が存在している。
小さな畑で作物を育てる時も、
はじめに、大体の方向性を決めておくと、
作業の指針になるだろう。
実践しながら、試行錯誤を繰り返すことで、
自分に合ったやり方が見えてくる。
1章 日本で今使われている、主な農法
慣行農法
一般的に、多くの地域で多くの人が行っている農業のやり方で、
時代により変化する。
今現在の主流では、土を耕し化学肥料と農薬を用いた農法を指している。
メリットは、品質や収穫量の安定と農家の作業量軽減で、
デメリットとしては、自然界の生態系を無視したやり方とも言える。
有機農法
化学的に合成された肥料・農薬を使用しないこと。
遺伝子組み換え技術を利用しないこと。
農業生産による環境への負荷を出来る限り低減すること。
を主軸にしている。
農薬・肥料を一切使用しないということではない。
制度化された自然思考とも言える。
自然農法 福岡正信
不耕起・無肥料・無農薬・無除草が原則。
粘土団子のバラに象徴される。
人の手をほとんど加えない、自然に委ねたやり方。
思想的でもある。
自然農 川口由一
福岡氏の流れをくみながら、適宜補助していくやり方。
「耕さず、肥料・農薬を使わず、草や虫を敵としない」
自然に任せて手出しをしないことが原則ながら、
原則に囚われず、状況により補いも許容している。
川口氏主催の「赤目自然農塾」で学んだ人も多く、広がりがある。
思想的でありながら、実践に寄り添っている。
自然栽培
無農薬・無肥料(もしくは化学肥料不使用)にこだわる栽培法を
表現する言葉にもなっている。
規制の定義がないので、最近は「自然栽培」を表記する人が多い。
バイオダイナミック農法
シュタイナーが提唱した、農薬や化学肥料を一切使わず、
宇宙や天体のリズムに基づいて作物を育てる有機・自然農法。
宇宙観に基づいている。
MOA自然農法
岡田茂吉が提唱した農法。
基本的に耕す事はせず、野菜残渣から作る植物堆肥を使用。
自然の摂理と能力に委ねた農業のやり方。
第2章 どれが正しい?と迷うけれど
農法に正しい正しくないはない。
それぞれに、メリット・デメリットがある。
個人の思考や目的にあったものを選び、実践していく中で、
自分なりに改善したり、
いくつかの農法を組み合わせていくことになるかもしれない。
農法は、1つの指針として捉えたい。
営農であれば、
コンスタントに、見栄えのいい、
多くの人に美味しいと評価される作物が求められるだろうし、
省力化も必要だろう。
自分で育てた安心安全な野菜が食べたいのであれば、
化学薬品は使わないで育てたいと思うだろう。
目的や環境、使える時間も体力もそれぞれ。
今や情報は数限りなく押し寄せてくる。
自分の思考や目的にあった情報に絞って
能動的に取りにいかないと混乱するばかりだ。
最後は、静かに、自分に戻る。
第3章 私の思い描く風景
私にとって、農に興味を持つことは、
この世界の成り立ちへの興味に他ならない。
そして、
記憶に強く残っているのは、
20年ほど前に訪れた、小高い山の風景だ。
福岡正信さんの庵があった。
春真っ盛りの晴れた日。
様々な木々の若葉が煌めき、小鳥や蝶が飛び交う。
満開の桜の木の下に、ぼんやり佇んでいると、
気持ちの良い風が抜け、絶え間ない小鳥の声。
まさに桃源郷。
こんな場所が欲しい!と強く思った。
福岡さんによれば、
泥団子の種を蒔きながら、4~5年も手を出さなければ、
自然の循環に戻るとのことだったが、
「ここ!」と言う場所と出会うのはなかなか難しい。
そんなこともあり、
自然への畏敬の念と憧れは、更に深まった。
第4章 庭先の小さな畑で試行錯誤
人が生活している以上、
全てを自然に任せるわけにもいかないが、
耕さない、肥料や薬品を使わないことで、
「できるだけ自然界の邪魔をしないで、食べ物を得る」
スタンスが、自分にとって心地いい。
しかし、なかなか作物が育たないのも事実。
発芽した喜びも束の間、あっという間に消えていたり、
少し大きくなって来たと思ったら、虫に食べられたり。
3年経っても、まともな収穫は得られない。
庭木だけは、落ち葉を根元に残しておくだけで、
随分と元気になっているが、
作物は、そう簡単ではない。
そもそもここは、
畑を始めるにも、まず土が足りなかった。
芝生混じりの砂地と硬い土で、圧倒的に量が足りない。
そこで考えついたことが、畝を立てること。
通路になる部分の土を掘り上げて、
なんとか、短いながら5本の畝を立てた。
草も生えない土地に、少しでも栄養補給をしたいと、
ヘアリーベッチやクリムソンクローバーの種を蒔き、
米糠を発酵させた、米糠ボカシを作って表層に少量撒いたり、
調べながら、考えながら続けてきた。
1年ほど留守にしていたので、余分に時間がかかったが、
今年は、
ホトケノザやカラスノエンドウが育つ場所が増えているので、
適度に肥沃な土壌になってきていると思われる。
これまでの流れを思い返すと、
川口由一さんの自然農のやり方に沿っている。
強く意図したわけでもないが、
自分の思考にも、現実的な判断にも合致していたのだろう。

