ほぼ30年来の友人から贈呈本が送られてきた。
「ミアルカ」というアンティークジュエリーの解説本である。
彼女はアンティークジュエリーのディーラーであり、アーツ&アンティークスミアルカ主宰であり、(株)ミアルカの代表取締役である。
独立された最初の頃に知り合い、一緒にお仕事もし、長年、その丁寧で辛抱強いお仕事ぶりを敬愛してきた身としては、記憶に残る作品の数々をこういう形でゆっくりと鑑賞できるのは感慨深い。
人生とは日々コツコツと丁寧に積み重ね、次第に力をつけ、時に大胆に挑戦し、自分のビジョンへと突き進んでいくもの・・・という理想を実践してきた強い人である。清楚でたおやかな雰囲気は30年前と変わらない。
ミアルカのジュエリーは、繊細でロマンティシズムに溢れた清楚な作品も多く、100年以上の年月を経たとは思えない完璧な状態を保っている。清冽な美しさである。
日常的に身に着けて、品格ある着こなしができるブローチ等の小品のコレクションも秀逸である。
現代のブランド物の商品などとはステージが違う。
今の時代は、経済に阻まれて価値ある美しいものがなかなか生み出せない。布一枚にしても、30年前のレベルのものが殆どなくなってしまった。全ては経済に連動している。
神様への、王様への捧げものとして、太古の昔から人々が精魂傾けた作品は今なお我々を魅了し続けている。
貴族社会も,権力を誇示するためとはいえ、職人を抱え思う存分の仕事をさせることで、何百年もの間人々を感嘆させ魅了し続ける作品を残したという意味では、大いに文化貢献をしている。
職人はただひたすらにその技術と感性を高めることに精魂傾け、人間業とは思えないほどの作品の数々を生み出している。
以前、知り合いが「貴族解体で文化が廃れてしまった」と言っていたが、確かにそういう一面もあるだろう。
700点近い作品を、美しい写真で細部に渡りじっくりと鑑賞できることは現在の技術力故である。しかも収集した本人の解説付きで。
この時期、自宅でゆっくりとくつろぎながら鑑賞するに最適な一冊となった。暖かい部屋に美味しいお菓子と紅茶を用意して、ひとりの時間を楽しもう!
実物を手に取り、身につけてみることとはまた違った楽しみがある。
アンティークジュエリーに興味をお持ちの方には是非おすすめしたい一冊である。クリスマスのプレゼントにも最適!!
その上で、興味が深まれば、実物に会いに出かける楽しみも湧いてくる。誰かのものになっている可能性もあるけれど・・・新しい出会いがあるかも!?
ミアルカ アンティークジュエリーの魅力とひみつ
ミアルカ アンティークジュエリーの魅力とひみつ [ 伊藤美也子 ]