パーマカルチャー の成り立ちと基本倫理3項目

先にSDGsを扱ったので、パーマカルチャーについても導入部分のみまとめてみた。

「パーマカルチャー」は、我々にとって恒久的に持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系を指す造語で、permanent = 永久の と agriculture = 農業 をつづめたものだが、

同時に、文化というものが、永続可能な農業と倫理的な土地利用という基盤なしには続かないとの認識から、パーマネントとカルチャー(文化)の縮約した形でもある。

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パーマカルチャーの成り立ち

パーマカルチャーの創始者Bill Mollison=ビル・モリソンは1928年タスマニアの小さな漁村生まれている。

「28歳ころまでは自然の中でまるで夢のような暮らしをしていた。だが、1950年代になるとそれまでの生活を包んでいたシステムの大部分が消滅しつつあることに気づいた」

生物学者として野生生物調査部やタスマニア漁業省などで働いた後、その元凶である政治や産業の仕組みに抗議する活動に身を投じた。

しかし反対運動のために時間を費やしても何も達成できないことがわかると、二年間社会から身を引き、生態系全体を破壊することなく、我々全てが生存しうるような建設的な何かをつかもうと模索する。

1968年、タスマニア大学で教鞭を取り始めると、1974年には、同大学の学生であったデビット・ホームグレンと二人で、ひとつの永続的な農業の枠組みを考え出した。

これを新造語で「パーマカルチャー」と名付けている。

その後、パーマカルチャーの概念を構築し練り上げてまとめられた本が、「parmaculture1」「parmaculture II」である。

パーマカルチャーは
建築学・生物学・農学・林学・畜産学など多岐にわたる。また、建築学と生物学・農学と林学・林学と畜産学などを組み合わせて扱っている。

1970年代には、
家庭的自給と地域社会の自立を狙ったものとして、植物や動物を人間生活に寄与するように組み合わせていくことと考えていたが、次第に食糧の自給生産という枠を超えたものになっていく。

食糧の自給と言っても、そのためには土地や情報や資金源を持たなければ意味をなさない。

そこで、法的・経済的方針〜土地の利用法、経済活動の構造、資金調達法など生活全体を含むシステムになっていく。

1981年にはタスマニア大学パーマカルチャーデザイン課程の最初の学生が卒業し、10年後には4000人の卒業生たちが世界中で環境保護や社会事業の分野で活躍することとなった。

1978年大学を離れ、パーマカルチャーのシステム展開とその思想を世界に広めることに全精力を傾注。

1979年 パーマカルチャー研究所設立。

日本では、1993年に「パーマカルチャー 〜農的暮らしの永久デザイン〜」というタイトルで農文協から出版されている。

パーマカルチャー


パーマカルチャー―農的暮らしの永久デザイン

私事だが、1990年代半ば頃だろうかビル・モリソン氏のワークショップがオーストラリアで開催されるというので、子供達3人と参加申し込みをし楽しみにしていた。

ところが開催間際になって、モリソン氏が心臓発作で倒れ代理開催となった。散々に迷ってキャンセルした苦い思い出がある。

その後講義を受ける機会もなく、2016年9月永眠。

パーマカルチャーの倫理

パーマカルチャーでは実際のシステムデザインに入る前に「倫理」というものを重要な導入としている。

この地球上で暮らすための道徳的信条であり行動で、三つの側面がある。

①地球に対する配慮  土壌・生物・大気・森林・微生物・動物・水など
           すべての生物・無生物に対する心くばりのこと

②人々に対する配慮  食物・家屋・教育・満足な雇用・親しみ深い人間接触などは
           人として満たされるべきものである。

③余った時間や金や物・エネルギーを地球と人々に対する配慮というかたちで使う。

パーマカルチャーの倫理は、環境や地域社会や経済などすべての側面に及び、「共生」が柱となっている。

地球への配慮を日常生活の中で実践するには。

・自分の行為を長期的視野に立って考える。永続性を目指した計画を立てる。

・できる限りその地域原産の「種」を用いるか、すでにその地に適応していて、有益とわかっている種を用いる。

 既存の種を侵害する恐れのある新種を無思慮に持ち込むと、自分の地域の自然のバランスを壊すことになる。

最小限の土地を耕すこと。大規模なエネルギー消費の大きい粗放的システムよりも、小規模なエネルギー効率の良い集約的なシステムを計画する。

・多様性を尊び多種作物栽培とする。環境変化や社会変化に対応しやすく安定する。
収穫の全体量を増加させる。一年生作物・多年生作物・穀物・木・動物などからの収穫全体に注目

・エネルギーについても、節約できた分は収穫とみなす。

・エネルギーの保存・生産のために、太陽・風・水などの低エネルギーの環境システムや動物・植物などの生物学的システムを利用する。

都市や街でも食物生産活動を取り戻す。エディブルランドスケープ・屋上緑化・小さなスペースでミニ畑・ベランダ菜園など

・人々の自助努力を援助し、地域的成果にまでつなげる。

森林を再建し、土壌の肥沃性を回復する。

・すべてのものを最大限に生かして使い、すべての廃棄物を再利用する。

・問題を眺めるのではなく、解決策を見出し実行。

*実際のデザインシステムについては、多岐にわたり奥も深いので、
興味のある方はまずは先にあげた「パーマカルチャー 〜農的暮らしの永久デザイン」をおすすめします。

久しぶりにパーマカルチャーの資料を読み返し、気持ち新たにしました。

このページは主に「パーマカルチャー 〜農的暮らしの永久デザイン」をベースにまとめています。


https://atsuhi.com/sdgs/


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