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今朝の日曜美術館は「有元利夫」

今朝の日曜美術館は「有元利夫」が取り上げられていた。

映し出された絵を見ながら、見慣れた懐かしい感覚・・・でも画家の名前は出てこない。

静かで深淵な、細胞をざわつかせる感じ。好きだな〜と思いながら見入ってしまった。

宮本輝さんが突然画面にあらわれる。

なつかし〜。 

ひと頃、この人の小説を読み漁ったことを思い出す。すっかり忘れてた。

そういえばこの人の本の表紙絵に使われてたっけ。懐かしさの在処が判明。

「有本氏の作品は、能のシテ方のとまりのような緊張感、沈黙の背後から喧騒が沸き起こってくるような凄さに圧倒された。見る者を想像せざるをえない状況に追い込む」というような宮本輝さんの表現にも納得。

「音楽が聞こえる絵を描きたい」「いっぱい嘘をつかなければ真実に近づかない」という本人の肉声が入っていたが、音楽、特にバロック音楽がが好きでリコーダーも吹いていた人のようで、タイトルにも音楽にまつわるものが多い。

静かだけれど饒舌、音楽が湧いてくる絵と言われるように、その絵にインスパイアされた曲の楽譜と銅版画を、見開きに並べた銅版画集「7つの音楽」も出版されていて興味深い。

唐津の陶芸家、中里隆氏とコラボした陶器の立体作品、木彫、自ら作曲など、10年程の創作活動にかけた熱情を感じる。

「有元利夫」は学生時代のヨーロッパ旅行で出会った、イタリアのフレスコ画に衝撃を受け、経年劣化とともに風化して行くフレスコ画と日本の仏画との共通性を見出す中で、独自の画風が確立されたとされている。

目にする機会も多かった氏の作品だが、漂う空気感には惹かれるものがありながら、深く興味を持つことがなかったのは、印刷物ゆえなのだろう。

今回、映像や多少の情報を得ながら一番興味をそそられたのは、色材。

1970年代、時間の経過と共に風化していく姿までを組み込んだ色材を選ぶ感性に惹かれる。

岩絵の具、顔料、金泥などを使った実物を、40年以上を経た今見てみたいと、強く思っている。

最近、”人は自分の死期を感じるものだろうか”とよく考える。

多くはないが、最後まで交流があって突然亡くなってしまう人が見せる直前の”違和感”が、妙に重なっていて、心に引っ掛かる。

人間が生きているシステムも究極わからないが、人は環境を選んで生まれてくるとも言われるし、人生の時間や目的も決めて来るのだろうか。

意識下ででも、そのことを理解して生き切る人がどれくらいいるのだろうか。

で、輪廻転生?