飲み込む力が弱まり、サラサラした液体が飲み込めないような状態にまでなると水分補給もままならず、栄養状態を維持することもなかなか難しい。
気管支に入り込みやすく、せきをする力も弱いので誤嚥性肺炎のリスクは一気に高まってしまう。
そのような状況でも自宅介護を希望する場合、水分補給と栄養状態の維持をどのようにすればいいのだろうか?
4月中旬から、そのような介護状態の母の食事担当を始めたが、その時点では、柔らかく煮たものを潰しながら食べさせていて、食べられるものも限られていた。
スムーズに飲み込めず、咳き込む力もないので、食事のたびにハラハラドキドキ状態。
当初、このような状態で自宅介護を続けられるのだろうか?と不安になったりもしたが、胃ろうのようなことをしたくはないし、何より本人の食欲はあるので、日々試行錯誤している。
この5ヶ月で食べられるものもずいぶん見えてきた。
基本的には自分たちの食事にブレンダーをかけるやり方で、ストレスもそう感じることなくやれている。
何より助けられたのは、持っていたハンドブレンダー。特にスパイスグラインダーは欠かせないものになっている。
我が家の介護食
まず、こういう状況では十分な量を食べられるわけではないので、少量ながら多くの栄養素を入れ込むことがポイントになります。トッピングは、多品種満遍なく食べるための技。
常備しているもの
・経口補水液OS-1 ゼリータイプ 〜水モノが飲めないので水分補給にこれが頼り。他にカロリーメイトや薬用のゼリーなど
・かつお節小袋タイプ 〜豆腐や青物のお浸しなどにトッピング。
お浸しや胡麻和えもグラインダーにかける。
開封前に袋ごと良く揉み、粉状態にして使う
・海苔佃煮 〜瓶詰め。食欲のないときでもこういううものが役に立つ。
・梅干し 〜ある程度の量をスパイスグラインダーでペースト状にしておく。
・明太子 〜一食分づつ切り分け冷凍。冷凍状態だと簡単に皮が剥がれる。
・青汁粉末 〜ポタージュスープなど合いそうなものにトッピング
・秋川牧園の冷凍チキンスープ 〜スッキリして美味しく使いやすい。煮物、スープ、茶碗蒸しなどのベースに。タンパク質・コラーゲン補給は特に重要
・冷凍かぼちゃ 〜かぼちゃスープ。朝のスープのとろみづけにも
・青のり 〜主に山芋にトッピング
・山芋 〜ある程度の量を一気にすりおろし、一回分づつ小分けにして冷凍。
青のりをトッピング、酢醤油or醤油。時には卵の黄身をプラスしても。
・ねりごま 〜和え物や豆腐に
・アマニ油 〜朝食時のフルーツヨーグルトに数滴垂らしている。便秘予防効果にも。
・充填豆腐 〜1食分程度の小ぶりなもの
・魚などの缶詰 〜骨まで柔らかいので、グラインダーにかけるだけでOK。なにもないときの救世主。
・スキムミルク 〜スープに加えたり、時には固めに練っておやつ代わりにしたり。
とりあえずこれくらいの常備品があると、栄養バランスが上がる。
食べられる量も少なくなるので、何にでもトッピングをして、不足栄養素ををなくすことを心がける。特に蛋白摂取には気を配りたい。
朝食
うちではアダムスキーの食事メソッドを実践しているので、朝食は消化の良い野菜スープとフルーツヨーグルト。これは毎日の定番。
・スープはにんにく・しょうが・玉ねぎ・かぼちゃ・ナス・パプリカ・トマト(or100%トマトジュース)・オレガノ・塩麹 これらを柔らかく煮てブレンダーをかけたもの
・季節のフルーツ数種に無糖ヨーグルト・アマニ油・シークワサー ・自家製酵素など をブレンダー にかけたもの。 スキムミルクをプラスすることもある。
昼食夕食の主食
・玄米のお粥 〜圧力鍋で炊いた玄米を塩麹を加えてお粥にし、残さが口に残らないぐらいまでブレンダーをかけている。おかゆというより玄米クリームといった感じ。
これが自分でも毎日食べたいくらい美味しい。ある程度の量を作って一回分づつ小分けし冷凍。
③汁物
・昆布+かつおぶし+干し椎茸+チキンスープのだしで季節の野菜色々を煮て最後に牛乳や豆乳を加える。ブレンダーでポタージュ化。豆類や根菜類を加えておくと程よいとろみがつく。これも、ある程度の量を作って一回分づつ小分けにして冷凍。
④副菜
・茶碗蒸しは夏は冷やしてもおいしいし冬はほっこり。チキンスープを使いタンパク質たっぷり。具材は入れないで食べやすく。
・豆腐 〜かつお節やねりごまをトッピングして。
・季節の青物の胡麻和えなど。
今の時期だとオクラはよく使う。柔らかめに煮てスパイスグラインダーにかけるととろみもあって食べやすい。醤油、ねりごま、かつお節粉、酢などをちょっとプラスして。
・里芋・蓮根・牛蒡など根菜の煮物も肉入りにしてタンパク質補給。これもスパイスブレンダーにかける。
・鮭 〜甘塩のシャケを蒸し焼きにして骨皮を外してスパイスグラインダーにかける。
シャケの骨は身の隙間に隠れていてしなやかなので、相当気をつけても骨が残りやすい。食べさせる時にもよくチェックしながら!
市販の瓶詰めでもいいと思うが、もういちどスパイスブレンダーにかける。
これもある程度の量を作って小分けにして冷凍しておく。
・その他サバや白身魚、缶詰、肉類や練り物もグラインダーにかけてペースト化。
⑤デザート
・暑い時期には冷たいデザートも欲しいので、フルーツジュースや牛乳・豆乳などなどをゼラチンで固めてコラーゲン補給。
・寒天は誤飲しやすくもあるので小豆の甘煮などと一緒にグラインダーをかけてあんみつ風に。たまには甘いものも欲しいかな?
・甘酒もグラインダーで粒感がなくなり程よいとろみになる。
・また、甘いものが好きな人には、小豆や、金時豆、うずら豆などの甘煮も喜ばれる。
気づきetc
・寝たきりで流動食の状態だと便通の問題は大きい。医者処方の酸化マグネシウム?も使っているようだが、食事でも意識している。ここでもアダムスキー式腸活メソッドが貢献しているかもしれない。初めの頃のようなひどい便秘になることがなくなった。
デイサービスにも週三で行っているのでそこでの昼食まではコントロールできないが、家ではアダムスキーの食事法を実践。
玄米に変え、繊維の多いものもできるだけ入れ込んでいる。
朝食はファスト食、昼食夕食はスロー食に。
介護食を作るにあたり気をつけていることは
◎季節の素材であることと、
◎食材一つ一つの味を感じられること。何もかも一緒に混ぜるのではなく、一品づつの味わいを感じられるよう、また単品で味わって欲しいものは単品でグラインダーをかけることも大事。
◎少ない量でも栄養が不足しないよう、こまめに栄養価のあるものをトッピングしてバランスを取る。
◎味覚の低下ではっきりした味を好むと言われているが、塩分過多になりがちなので、スパイス類を上手く使う。強すぎてもむせたりすると危険。
◎食欲のない時は、練り梅や海苔の佃煮などの濃い味をちょっとだけトッピングも効果あり。
◎うちの場合、座っても頭が落ちるか反るかで必ずむせるので、横向きに寝て、ベッドを45°程度上げた状態が一番スムーズ。
介護者がストレスを抱えて体調を崩さないためには
・家事ごとはキリのない仕事で、それだけですぐに1日が終わってしまう。まして介護者を抱えていては、自分のやりたいことどころか一息つく時間さえ取れない。
・ひとりで何もかも抱えないように、デイサービスやヘルパーさんなど介護保険などを使い、利用できるものはしっかり利用して、ストレスで体調を壊さないよう気をつけたい。
・ミキサー(ブレンダー)食の段階になると、作ることと食べさせることをひとりでやるのは難しい。食べさせるのに1時間は見ておく必要がある。決まった時間に食べさせることもままならない。
できれば作る人と食べさせる人は分けたい。食べさせることの方がよりストレスが大きいので、家族で分担するとか、ヘルパーさんに頼むとかができれば良いのだが。
食べさせることは相手があることなので思い通りにいかないが、作ることは、楽に短時間でやるシステムを自分で作れるので、整理整頓、先手先手の段取りと冷凍ストックで乗り切ろう!
・時間がない時でも取り敢えずさっと用意できる最低限のものは常備しておきたい。
・食事の支度にかかる時間は1食あたり30分を基本と考えている。毎日欠かさず3食の食事を用意することがストレスにならない自分感覚。
・そのためには段取り!冷凍に向いている素材であれば、ある程度まとめて切ったり、茹でたり、すりおろしたりをして下ごしらえをして冷凍しておく。とにかく冷凍庫の活用は必須!
・食事の支度をする時には次の準備も入れ込みながら、先手先手で。
・食材の購入は質のいい宅配を使い、買い物は不足ものを一週間に一度補充する程度にしている。
以上、今の時点での気づきいろいろ。
追記
ハンドブレンダーはブラウンを使っている。ブラウン1択だと思っている。握りながら速度調節ができるのは捨てがたい。
ミキサーは手間がかかるので使えない。
量がある程度あり、おかゆやスープのように水分のあるものは普通のブレンダーを鍋に入れれば良いし、それ用の容器もついている。
少量で水分の少ないものをペースト状にする場合にはスパイスグラインダーがとても役に立つ。よりなめらかな仕上がり。というより必須アイテム。もう一つゴムベラも必須!あ、食べさせるスプーンも金属ではなくゴム系。
*スパイスグラインダーが含まれるセットは数年前に買ったもので、最近の新作には含まれていないようだ。在庫としてはまだ流通している。
使っていてひとつ失敗したかなと思っているのはコードレスにしておけばよかったということ。火の回りで使うことも多く、コンセントの抜き差しが思いのほか面倒に感じる。ただし、コードレスはもう販売終了になっている。やはりパワーが落ちが原因のようだ。