昼と夜・光と影・男と女・・・のように、ありとあらゆるものには相反する二つの面=陰と陽があり、その相反する二つのエネルギーがバランスをとりながら、この世界は存在していると考えられている。
陰は中心から拡散するエネルギー
陽は中心に向かう収縮するエネルギー
とされているが、あくまで相対的なもので、すべてのものは両方の要素を持っている。
人間の体で言えば、どちらにも偏らない「中庸」を心がける事で健康を維持できることになるだろう。
食べ物の陰陽において、「マクロビオティック」と中医学の「薬膳」の分類の仕方には違いがあり、混乱しがちなので、ここではマクロビオティックの理論による陰陽分類を採用している。
マクロビオティックとは
マクロビオティックは、桜沢如一が提唱した陰陽論をベースにした食事法で、一つの思想である。1958年にその思想を受け継いだとされる正食協会が設立され、活動を続けている。
桜沢氏の弟子であった久司道夫氏らがアメリカで普及活動をする中、1900年代終盤から特に注目される存在となり、日本でも逆輸入の形で「マクロビオティック」として定着してきた。
マクロビオティックにおける陰陽は、食品の中のカリウムの多さ(=陰性)とナトリウムの多さ(=陽性)で分類している。
それぞれの中で酸性・中庸・アルカリ性に分けられる。
食品の分類
陰性
陰性とは中心から外へ拡散するエネルギー、冷やす・緩める・溶かすなどの作用がある。
人の体で言うと寒がりで、手足が冷たく、低血圧で痩せ型。血の薄いタイプ。
食材でいうと
・上や横に広がり、
・夏や暑い地方で取れるもの
・精製された白っぽいもの
・カリウムを多く含む食品である。
陰酸性の食品
酸性の食品は、血液を汚し体の機能を低下させるとされている。
陰酸性の食品を好む人は、血液が薄く汚れていて、さらに状態が悪くなると、血液が粘つくようになる。マクロビオティックでは、できるだけ摂らないとされている。
砂糖・スナック菓子・チョコレート・アイスクリーム・インスタントコーヒー・ジュース・バナナ・蜂蜜・ココア・ナッツ類・タバコ・アルコール類・サラダオイル・マーガリン・乳製品・添加物・白米・白うどん・白パン
陰アルカリ性の食品
血液をきれいにする効果もあるが、取り過ぎは危険。血液を浄化するのを通り越して過剰に濃度を薄くし、免疫力を下げる。
酢・果物・青汁・大豆・豆腐・お茶・コーヒー
極陰アルカリ性 の食品
ナス科野菜(ナス・トマト・ピーマン・じゃがいも)・パプリカ・アボガド・きのこ・レモン・ゆず・コーヒー・紅茶・ほうじ茶・カレー粉・納豆・こんにゃく
・豆乳・ワサビ・唐辛子・こしょう・からし 〜少量厳守
中庸
中庸の食品
〜理想的な主食となる。
玄米・麦・きび・あわ・ひえ・小豆・黒豆他豆類・蕎麦・もち
中庸アルカリ性の食品
大根・玉ねぎ・緑黄色野菜(昔ながらの旬のもの)・海藻・野草
陽性
陽性は中心に向かう収縮するエネルギーで
温める・締める・固めるなどの作用がある。
人の体で言うと、暑がりで汗かき、高血圧気味で筋肉質、血の気の多いタイプ。
血管や血液も固まりやすい。
血栓・ポリープ・がん・・・動脈硬化が進むため、脳梗塞・心筋梗塞などの血管トラブル多し。
牛乳が固まったチーズ・バター・ヨーグルトなども固まる病気を引き起こす原因となりやすい。
酢や果物、砂糖と組み合わせると分解を促進してくれる。
・陽性は外から中心に向かうエネルギーで
・血液は密になり、濃度が高くなる
・ナトリウムの多いのが陽性。
・冬や寒いところでとれるもの
・未精製の黒っぽいもの
陽性の酸性食品をとりすぎると血液が汚れる。
心臓・肝臓・腎臓・膵臓のようにエネルギーが内側に向かっていく臓器に現れる。
陽酸性の食品
・牛肉・豚肉など畜肉全般・ハムソーセージなど
・無精卵・精製塩・かつお・まぐろなど大型魚・貝類・チーズ・フライドチキン・
・ハンバーグ・ステーキなどは血を汚す。食べる時は大根おろしなどと一緒に。
・少量原則 〜しじみ・イカ・タコ・牡蠣・小魚・川魚
陽アルカリ性の食品
・根菜類は血液をきれいにする力が強力でスタミナをつける。
・自然塩は血液浄化作用・増血作用あり。
・みそ・醤油・大根・ごぼう・人参 〜造血作用あり。
・虚弱な人や冷え性の人は積極的にとる。体を温め胃腸を丈夫にする。
・山芋・蓮根・梅干し・自然塩・葛・海藻・玄米・麦・きび・あわ・ひえ・小豆・ごまは一番陽の強い食品。虚弱な人がまいにち少しづつとれば滋養強壮になる。
極陽の食品
・極陰の人に!黒焼き(玄米・梅干し・昆布・クマ笹)
食品の組み合わせ(毒消し)
・肉 〜椎茸・トマト・豆類・モヤシ・ブロッコリー・ピーマン・ネギ・ こしょう・ニンニク・生姜・メロン・ゴボウ
・魚 〜基本的には肉と同じ。みかん・ミョウガ・大根・生姜・本ワサビ・酢・酢味噌・山椒・海藻など
・乳製品 〜きのこ
・砂糖 〜基本的になし ごま塩が効果的な場合がある。
・タバコ 〜味噌
・酒 〜味噌・しじみ・柿(ビタミンC多いもの)・梅干し・自然塩
・お酒と動物性のものを一緒に取ると酸性が強くなるので注意!陰性と陽性と考えて勘違いしない。
・唾液はアルカリ性なのでよく噛むことで酸性過多の場合毒消しに貢献。50回噛む。
まとめ
・健康を維持するためには自分の体質を知り、陽体質の人は陰性の食べ物を、陰体質の人は陽性の食べ物を多めにとり入れて、陰陽のバランスを整えて中庸を心がける事が必要。
・体質が偏っているからと極端に偏った食事をするのは良くない。陰陽を調和して食べる事が大事。
・陰の食材は、蒸す煮る炒める焼くなど加熱することで調和させる。
・薬味・香辛料・酢は陰性なので、陽性の食品を調和させる酢の物・マリネなどに使う。
・漬物や発酵食品は、陰性の大豆類や野菜類を保存し、調和して陽性化する。
・中庸の食品でバランスを取る。
・陰性体質には、雑穀・根菜類・そば・葛・ごま塩・鉄火味噌など塩気の効いた食べ物でゆるんだ体を引き締める。
・陽性体質には緑の野菜がおすすめ。麦類・野草・海藻・きのこなどを使って薄味で、しまった体をほぐしていく。
・ご飯に野菜・海藻・漬物・味噌汁の和食はどちらにも合う。
マクロビオティックの食事の特徴は玄米菜食。玄米を主食としてなるだけ野菜を中心とした食事が日本人の体質には合っているとされている。
ただ、我々がさらされている環境も年々変わり、食材自身の持つ質も変化している。
情報も多岐にわたり正解はなかなかつかめない。多くの食品をバランスよく食し、中庸を保つことを意識したい。感覚的に表現すれば、健康な状態とは自分の体を感じないということだろうか。軽快さ=健康と捉えている。