シュタイナーが説く食べ物と人間との関わり。

シュタイナーは生涯で6000回にもおよぶ講演活動をしたとされている。

そのテーマは、教育、農業、芸術、医学、建築、経済など多岐にわたり、その思想は、出版物として数多く残っている。

これだけ幅広く語れるのは、何かしら宇宙の根源的本質を見ているとしか思えない。

20年以上も前になるだろうか?「シュタイナーの黒板絵」という企画展が開催されるというので、喜び勇んで出かけた。

ビジュアル的にも魅力的なものであったが、その内容が、感覚的には入ってくるのだが、頭は混乱状態!消化不良で2度も足を運んだが、なんともならなかった。

シュタイナーの栄養学の本「身体と心が求める栄養学」も15年以上前に求めたものだが、なかなかスッキリ理解できず、二箇所のみが記憶に残った。

一つは、BSE,いわゆる肉骨粉を与えることで発症する狂牛病を予見しているかのような1923年の講義の一文。

「草食動物である牛は、肉を食べない。それを体の中で肉にする。牛は体の中に、植物を肉に変える力を持っている。

牛が草の代わりに肉を食べるとどうなるのか?肉を作る力を使わないことになる。力が牛の中にとどまる。

その力の作用によって様々な汚物が作られる。肉を作る代わりに、有害な物質が作られるのだ。

特に尿酸・尿酸塩が体に満ちる。尿酸塩は脳に行き、牛は気が狂う。」

人間のアルツハイマーや認知症もこういうシステムに近いのかな?と思った。

もう一つは、
「ヨーロッパにジャガイモがもたらされて以来、人間の頭は無能になったと思われる」という箇所。

「えっ?どういうこと?」とちょっとした衝撃だった。ジャガイモ好きだったし。

「じゃがいもの塊茎が完全には根にならなかったもの」なので思考を刺激しないというのだ。

対して、赤かぶを食べると、思考したいという激しい欲求が生じる。とある。

私はこの一文がけっこう頭に残り、以来、ジャガイモを食べることが極端に少なくなった。笑笑

久しぶりにこの本が気になり読み進めているのだが、つまづきが多く、なかなか進まない。

とりあえず、シュタイナーが事実として述べている部分をピックアップしてみようと思う。

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植物は根・茎・葉・花からなっている

は、下にあって土壌に似ており、多くの塩類を含む。塩は沈殿する。

・植物の根は、人間の頭と類縁のもの。頭に作用する。

・根を食べると、私たちの内臓に多くの塩類が入っていく。〜脳にまで至り、脳を刺激する。

・思考を刺激する必要のある時は赤カブや大根のような塩気の刺激が必要。

・頭痛に悩む人が根を食べるのはとても良い。

・根を煮出したものを患者が飲むと頭に強い作用が及ぶ。

・ジャガイモは完全には根にならなかったもの。ジャガイモは糖に変化した状態で脳に入る。
いつもじゃがいもを食べている人は、いつも疲れていて、眠りたい、夢を見たいと思う。

は上にあり、暖かい空気に似ていて、油や脂肪を含んでいる。

・花は、半分調理されている。なので、油がある。胃腸に油を与え、下腹部に作用する。

稚拙な言い方だが、植物と人間の関係は、逆さまになっているということね。植物の根が頭に作用し、花が人間の下腹部に作用するということを頭においておけば、何かしらの不調の際の手助けになる。

食べるということはどういうこと?

・人間は、「食べ物という物質でできている」のではない。

・人間は、およそ7年ごとに新しい身体を持ち、63年で完成する。身体は、常に改新されている。爪を切り、髪を切り、汗をかくことにより体内にあったものは出ていく。

・人間は絶えず何かを分泌し、新しい素材を受け入れている。

・人間は本来、地上の素材を何も必要としない。私たちがものを食べるのは、単に刺激を与えているだけ。

ものを食べ、刺激を与えることで、エーテル体から力がやってくる。このエーテル体から、身体のすべてを構築している。

人間の構成要素の図

・食べ物を必要とするのは事実だが、摂取するのではない。刺激を受けるため。

・身体は地上の素材ではなく、地球を包む光によって改新される。太陽の光が圧縮されたものが心臓。

・私たちの器官すべては、光の浸透した周囲から構築されたもの。食事をするということは刺激を与えるということを意味している。

・食べ過ぎれば、不当な素材をため込んで肥満し、少なすぎると刺激が少なく、エーテル世界から得るべきものをわずかしか受け取らないことになる。

「刺激を与えるために食べる」ということの理解が難しい。

個々の素材がどのように作用するのか

塩類は、特にに作用し、

・主食であるパンやジャガイモに含まれる炭水化物は、肺や食道に、

脂肪は、特に心臓や血管(動脈・静脈)に作用する。

タンパク質下腹部組織に作用する。

・頭は、タンパク質から何も特別なものは受け取らない。もちろん、頭はタンパク質からも構築されているが。

頭の中のタンパク質は、人間が自ら作らなければならないもの。

・タンパク質を取りすぎると脳は健康になるのではなく毒される。

塩の働き

人間は、思考することができるできるようになるために塩を取る

・塩はほとんど変化せず脳の中に入っていく。

特に前脳(特に思考)に働きかける。

・もし、病気で、塩が胃や腸に沈殿して、血液とともに脳にまで送られないと精神薄弱になり、愚鈍になる。

炭水化物

炭水化物のおかげで人間の体をしている。〜外的な姿を形成する働きをしている。

・単なる形姿で内実があるようにはしない。内実のための働きは脂肪。

・もし炭水化物が脳に至らず胃腸に溜まると、人間は衰弱する。

・炭水化物は後脳(言語に関するもの)に働きかける。炭水化物が正常に堆積しないと、言葉がかすれる。

ということは、体型的問題は炭水化物に起因するといううことになる。ダイエットを考えるときには、まず炭水化物のとりすぎを見直すことが効果的になる。

脂肪

・人間は、個我・アストラル体・エーテル体・物質的身体を持っている。

・私たちが起きていて、アストラル体がエーテル体の中で活動する時、脂肪は消化される。脂肪によって、身体中に油がさされる。

・私たちが眠ってアストラル体が外にある時、脂肪は消費されず溜まる。

・必要とするだけ食べ、正常に堆積しないと病気になる。脂肪の摂取が少なすぎると、肺病・結核になる。

タンパク質

・タンパク質は基盤となるもの。人間を形成し、発展させるもの。生きていくために必須。

・栄養器官を形成する。

・人間は絶えずタンパク質を必要としているので、食事にはいつもタンパク質が含まれていなければならない。

・植物の中にあるタンパク質、特に花・実に含まれるタンパク質は腸で消滅させることができる。〜自ら作り出せるということ。しかし内臓が弱くなると、外部から供給しなければならない。〜動物性タンパク質、鶏卵を取らなければならない。

・実のタンパク質は、胸にいかず内臓にとどまるが、動物性タンパク質は全身に広がって身体を養う。

・しかし不必要にタンパク質を取りすぎると体の中に浸透されず、腸を通って排出される。

・のみならず排便される前に腸の中で毒になり、全身を毒する。 〜 動脈硬化

・食べる量の少ない方が毒を発生させず、よく栄養が取れるということがある。

人間と栄養

・物質的身体はタンパク質によって発生する。タンパク質は、人間の誕生と死に関連している。

・エーテル体は、主に脂肪と関係している。

・アストラル体は、主に炭水化物と関係している。

・個我は、主に塩類と関係している。

花や実を食べると腸で消化され、根は頭の中で消化される。

・花や実、果実を煎じた茶が特に内臓に作用し、

・根を煮出した茶は頭を癒す。根を食べると、根は物質的に頭に作用する。

植物と人間

・人間は植物の全てを必要としている。

・地球は人間の足ではなく頭と関係している。頭は、全宇宙、または地球を模写したものである。

・そして頭は塩類を必要としている。根は地中にある塩を絶えず吸収している

・人間を確固とさせるものは、すべて頭から発している。骨の形成にも塩が必要。

子供の頭が弱ると内臓に寄生虫がいるようになる。そういう場合は、しばらくの間人参を食べさせる。

・人参は、土の力を持っており、胃に入ると、血液を通して頭に働きかける。頭の上部が強められ、内的に創建になる。

・頭が弱っている。よく考えられないと感じる時には、しばらくの間人参を食べてみるのは良いこと。

しかし、人参が最も効果を表すのは子供。

子供の頃に、「人参を食べると頭が良くなるのでいっぱい食べなさい。」とよく言われていた。関係ある?

調理

・食べ物を消化するには熱を消費しなければならない。

・熱なしに炭水化物を澱粉・糖分に分解することはできない。内的燃焼が必要。

・調理したものを食べることで容易に消化でき、体の負担を大いに軽減できる。

・何でも生ものを食べるということは、体に鞭打って酷使しているようなもの。

脂肪の形成

・脂肪は炭水化物や塩類のように簡単には人体の中に入っていかない。

・脂肪は、唾液・胃液・腸液によってほとんど摂取されてしまい、全く別のものが血液中に移行する。

動物と人間は、摂取した脂肪が引き起こす力によって、腸と血液の中で自分の脂肪を形成しなければならない。

・腸と血液は脂肪を必要としている。

・私たちは甘味に満たされている。

・甘味に満たされなくなると人間は力を失い崩壊する。

・砂糖や糖を作り出す食品を少ししか食べない民族は、肉体的力が弱い。

・植物性脂肪を多く含んでいるは、特に肺と心臓に働きかける。

・葉はサラダにする。腸で消滅させられて力だけが働くので料理する必要はない。

果物

・果実は夏の間太陽によって煮られているので料理する必要はない。

・腸で果物を消化できないような虚弱な体には、煮てコンポートにしたり、粥状にしたり、ムースにしたりしなければならない。

・健康な消化組織、健康な腸を持った人であれば、タンパク質を有している果物はそのままで、胃や下腹部の栄養器官を構築する。

動物性脂肪

人智学は狂信的・党派的に振る舞うものではなく、ただ事実を述べるもの。なので、人間は植物だけを食べるべきだとか、動物も食べるべきとかいうことはできない。

・植物性脂肪を消滅させて、自分自身の脂肪を生産するための力を体内に発生することのできない人々がいる。

・ほとんどの人は、植物性脂肪のみを消滅させることによっては、十分に自分の脂肪を作り出せない

・植物性脂肪は、腸の中で完全に消滅するが、動物性脂肪や肉は完全に消滅させることはできない。動物性脂肪は体の中に移行していく。

・テーブルを脂っこいもので一杯にする人は、「私の脂身を自分で作りたい」とは思わない。
「世界が、私に脂身を与えるべきだ」と思っている。 〜手抜きの栄養摂取の仕方。子供が砂糖を舐めて喜ぶように、快楽を満足させている。

・人間には内的快楽も必要なので肉が好まれる。

・しかし、肉を食べなければ生存していけない人々もいるので、狂信的になってはいけない。

・肉なしでも生きていける人が、肉をやめて菜食にすると以前より壮健になったと感じる。

・脂肪を好まない人体は、比較的容易に脂肪を消滅させ、脂肪を自分の中に形成しようとする。

栄養摂取の過程

唾液

・人間は、身体の中で液体のみを必要とする。なので、食物は口の中で液体にならなければならない。

食料は口の中で唾液と混じり液体化されなければ、人体の役に立たない

「よく噛んで食べなさい」とはこういうことで、私も含め、早食いの人は”口の中で液状にして飲み込まなければ食べる意味がない!!”と頭においておくと、少しは気をつけるようになるのかもしれない。

・唾液の中のプチアリン(唾液アミラーゼ)と呼ばれる物質が、食料が胃に役立つように支度を整える。

胃液

・プチアリンによって処理された食料が胃に入ると、さらに、胃の中で生産された消化液ペプシンと混ざる。=糜汁(びじゅう)

さらに、腸・小腸・大腸などに入っていき、糜汁(びじゅう)が腸の中に広がる。

糜汁が広がり何も起こらなければ、糜汁は腸の中で硬い石のような塊になって人間を破滅させるはず。

膵臓

・胃の後ろの大きな腺が膵臓。この膵液が繊細な管を通って腸に行き、腸の中で、また消化液と混じる。

・膵液は腸の中でより刺激の強いトリプトシン液になる。

・プチアリン・ペプシン・トリプシンの3種の消化液と混じった糜汁は、もはや人間の頭の中の意識では知覚されない。

糜汁から発生するものは、肝臓によって知覚され、味わわれ、感じられる。そして腎臓によって考えられる。

・腎臓と肝臓には心魂的なものがあって、それが知覚する。人間が、頭によって知覚するのと同じ。

肝臓

・我々が、刺激の強い玉ねぎを鼻の前に持ってこられると涙を分泌するのと同じように、肝臓は、腸の中を通過する糜汁を感じると、胆汁を分泌する。

糜汁は、このように4回消化液に混ざると、腸壁を通ってリンパ管の中に行き、そこから血液の中に入る。

私たちの体の中で日々行われていることは、人間が難なく真似できるプロセスではない。どの人間の悟性よりもずっと賢明に行われている。

まとめ

人間の営みの一端を垣間見ただけでも、自分の体をもっと敬愛し、大事に扱わなければと思ってしまう。

これでこの本の半分くらいまでの部分。

いいやり方とも思わないが、自分にとっては、こうして分解して箇条書きにすると入ってきやすいし、頭の中で整理しやすい。

実は、この本の最初の項目は「蜂蜜とミルク」である。

最初の項目ということは、シュタイナーが最も重要視したものではないかと思う。

内容が多岐に渡り複雑で整理できないということもあるが、今の時代の「蜂蜜」と「ミルク」の質を考えると、単純に推奨するようなことは書けないと思ったからだ。

シュタイナーが活動していた今から100年ほど前の時点で、すでに蜜蜂の人工飼育や牛乳の多量搾乳に関して警鐘を鳴らしている。安易に勧められない。

この内容は「身体と心が求める栄養学」著者/ルドルフ・シュタイナー 訳者/西川隆範
の前半の内容を抜粋整理したものです。

「身体と心が求める栄養学」は2017年に新装版が出ているようなので、
興味のある方は下記よりどうぞ。


身体と心が求める栄養学

後半は、「シュタイナーは食べることをどのように捉えているのだろう」に続きます。

シュタイナーは食べることをどのように捉えているのだろう?
人智学では食べることを非常に重要視している。ただ、”これを食べるべき、あれは食べるべきではない”というようなものではない。 シュタイナーは扇動的振る舞いも、あるものを支持したり非難したりということもない。人智学=精神科学は「真実のみを伝えるもの」その先は個人の領域という姿勢が一貫している。
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