オーガニックとは?その意味と目的、日本の現状は?

オーガニックとは、農業や食品製造の分野で、化学合成された農薬や肥料、合成保存料や遺伝子組み換え技術などを使用せず、自然の循環に基づいた栽培や生産を行うことを意味します。

一般的に、オーガニックという言葉は、食品に関するものが多いのですが、衣料品や化粧品などの分野でも有機原料や天然素材を使用したオーガニック商品が増えてきました。

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オーガニックの目的は?

オーガニックという言葉からまず連想するのが、「人間の体に優しい・健康的」というものですが、その根本には、地球の生態系原理への配慮という大きな目的があります。

現在の地球環境の悪化が物語るように、人間が生きることでの地球生態系への悪影響は、もはや修復不可能かと思えるほどのレベル。

土壌・大気・水・植物・昆虫・微生物・動物などあらゆるものに与える影響を少しでも軽減すべく、あるいは、修復すべく、日々の暮らしを見直さざるを得ない現状です。

日本でのオーガニックとは?

オーガニックの定義は、国により様々です。一般的には無農薬で作られた安全なものと言う認識ですが、必ずしもそうではありません。

日本での有機認証基準は、農林水産省が設定しており、生産者や加工業者は登録認証機関の検査を受け、「有機認証JASマーク」を貼付します。

農産物においての認証条件をいくつか上げると、

・遺伝子組み換えの種や苗を使用しないこと。
・有機物(動物の糞も含まれる)を微生物の力で分解した堆肥を使用すること。
・2年以上(多年生植物は3年以上)化学肥料及び農薬を使用していない土壌である。

などの条件はありますが、農薬不使用ではありません。有機JAS規格で定められた農薬は使用可能となっています。

JAS法成立当初は18種類の農薬が使用可能となっていましたが、年々増えているとも言われています。更に、使用した農薬表示の義務がないことも問題です。

均一的なきれいなものを好む日本人の特性が、農薬使用量の多い国となっている所以かもしれません。

農産物の他に国が有機JAS規格を決めているのは、加工食品・畜産物・飼料の3種類で、製造方法や食品添加物などの基準が設けられています。

オーガニック商品は何がいいの?本当にいいの?

前述したように、オーガニック商品のメリットは、生態系などの環境に与える影響の軽減や、遺伝子組み換え技術を使用しないことなどで食品の安全性に対する消費者の不安を軽減することにあります。

農産物でいえば、完全ではないにしても、農薬や化学肥料の使用がかなり軽減され、食品中に含まれる化学物質のリスクが軽減されますし、加工食品に関しても、完璧ではないものの不自然な味を感じることなく、余分な添加物を摂取しないことで、より健康的で安全な食品を摂取できます。

但し、現在の慣行栽培よりもちょっとだけ良い程度のレベル。

一昨年から家庭菜園をはじめていますが、有機栽培ではなく、無肥料・不耕起の自然農を採用しました。水や肥料を十分に与えている慣行農法とは違い明らかに成長が遅く、その分小ぶりで締まりが良く、香りも強い気がします。

ただ、自家用で収穫できないことが大きなプレッシャーにならないので気長に構えることができますが、営農でそれなりの規模で生活がかかってくると覚悟が必要となります。

始めたばかりで地力がなく、いい収穫には至っていないのですが、しまりがいい感じは自然栽培野菜の大きなの特徴だと思います。

1980年代から自然栽培の普及に取り組んでいる先駆に、河名 秀郎氏の「ナチュラル・ハーモニー」という会社があります。

銀座の小さなスペースでしたが、野菜と自然食材の店「結市場」、天然素材の雑貨類、「菓子工房 パティスリー ユイ」、レストラン「日水土」の複合店で、特にレストランの「自然栽培ベジランチ」は絶品でした。

9種類の野菜料理のワンプレートで、住まいが近かったら毎日通うのにと思ったものです。2020年に閉店し、今は横浜の店舗で提供されているのではないかと思います。

なぜか自然栽培の野菜というと、その頃の小ぶりでキュッとしまった野菜を思い浮かべるのですが、始めたばかりの私の菜園で取れる野菜もそんな感じです。

ただ、福岡正信さんの畑にお邪魔したときの野菜たちは巨大で、大根などよろけるくらいに重くて大きくて、赤ん坊を抱いてる感じだったことを思い出します。その時試食を申し出なかったことを今でも後悔していますが、レンゲ草やクローバーも腰のあたりまで背丈がありました。

その時の福岡さんの言葉は、人間が制限を与えなければ・・・というもの。その後が思い浮かばない。笑笑

時々、その違いって何?と考えを巡らすのですが、

・一つは時間的問題。自然農を初めて間もない土壌では十分な自然循環ができず、土が肥沃化していないこと。
・もうひとつは、自然農といえど、営農である程度収穫しながら勧めていこうと思っている場合には、畝をたてたり、種を規則的に蒔いたり、間引きしたりとある程度の手出しをしないと収穫できない現実もある。

福岡さんの提唱された自然農法は、種を泥団子に混ぜてバラまき、後は一切手を出さないものです。少なくとも4年間は収穫もせず手出しをしなければ、自然生態系が蘇ると言われています。

自然の循環に従いながらも半ば手出しをしたものと、完全に自然に委ねたもの、そのあたりの違いかと思っています。

農法の違い

最近では、自然栽培・自然農法・自然農など、微妙に違いのある言葉が飛び交っています。それぞれに違いがあります。農法の違いは、こちら私の菜園ブログへどうぞ。

日本の有機栽培の現状

日本は、有機栽培農家率も耕地面積率も1%未満で、その消費額も圧倒的に低率な国です。近年、オーガニック系の野菜を扱う宅配サービスやネット販売が増えている気がしていましたが、微々たるもの?

日本では有機栽培より、自然農法、自然農、自然栽培のほうが今後伸びていくような気がします。そうあるべきだと思っています。

私が関わった、農に真剣に向き合っている方たちで有機認証を受けた方は見当たりません。意味がないという声を幾度となく耳にしました。

どちらかというと、大手企業のマーケティング戦略として使われているような気さえしています。

申請の煩雑さやコストは小規模農家には負担であり、その上、無農薬とという原則を掲げながらけっこうな農薬を指定している現実もあるようです。

確かに、日本は、オーガニックというものをファッション感覚で扱うマスコミの姿勢もあり、日本独特の本質に向き合わない、多数決主義的傾向が見えてきます。

ディベート力がなく、従属的で権力に物言えない人間ばかりが育つ社会に未来はありません。

戦後の教育のあり方に問題があるわけですが、ただ、一方では、本質的に思考能力の高い民族でもあるわけで、農業においても、福岡正信さんの自然農法はじめ、川口由一さんの自然農などを学んだ方々が一定数全国に存在しており、このネット社会においては一気に広がりを見せる可能性もあります。

農家に限らず、いま家庭菜園を始めている人たちが増えています。それも、自然農系で。それぞれ多少のやり方の違いはあるものの、できるだけ自然の生態系にそったやり方を採用しているようで、固定種の国産の種の入手が一気に困難になっています。

これから、個人レベルで自家採種を成功させ、良い種を分かち合い、本来の生態系を取り戻した土壌が広がっていくことをイメージして、微力ながら何かしら貢献したいと思っています。

いつも言っていますが、これからは個の時代、政治家もマスコミもとりあえず脇において、個人の力を磨き、つながり、国をより良く動かしていく力にしたいものです。

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