日々使っている暮らしの洗剤や、体周りの洗顔・歯磨き・シャンプーなどは、使うこと自体が環境にも自分の体にも何かしらの悪影響を及ぼすことは明白なのだが、水だけで全てを処理することは、もはやできない。
メーカー側もできる限り安全性の高いものを求めて日々努力しているのだろうが、選ぶとなるとけっこうな手間がかかる。
やはり、成分によって自分に合う合わないもあり、ダメージの大きさも違ってくる。
価格が高ければ問題がないというものでもないので、ストレスにならない程度にポイントを抑えて選ぶことが必要だ。
長年メインに使っていたシャンプーが日本から撤退し、次を選ぶまでのつなぎに買ったシャンプーに、硫酸系が入っていたことから、この記事を書くことになる。
しばらく石鹸系のシャンプーを使っていたが、洗い上がりの気持ち悪さに我慢ならず、好みのビオチン系のBIOシャンプーをとりあえず買ってみた。
香りが素晴らしく、気分が上がる。
シャンプーでこんなに気分が違う!とばかりに、最初は大満足していた。が、回数を重ねていくと、洗浄力の強さが気になりだし、ここで初めて成分を確認した。
ん〜・・・「ココアルキル硫酸Na」が入っている!
植物由来ということで、欧米系のBIO認証の除外成分には入っていないらしい。これは、把握していなかった!
ここから界面活性剤調べにハマって調べにハマって丸一日をフイにしてしまった。
そもそも界面活性剤の役割って?
界面活性剤は、水と油の両方に馴染むという性質を持っていることから、シャンプーにおいては、皮脂汚れや整髪料などの洗浄のために配合されている。
また、安定した泡立ちや、汚れや帯電防止の役割も有り、殺菌効果もある。
洗い上がりのすっきり感は界面活性剤の性質ゆえでもある。
リンスやコンディショナーにも汚れや帯電防止の役割で配合されている。
シャンプーの界面活性剤の種類と特性
シャンプーは皮脂汚れを落とすのが目的なので、ベースは洗浄剤。シャンプーの成分中50〜70%は水で、界面活性剤が30〜40%、この2つで大部分を占めている。
ということは、シャンプー選びのポイントは界面活性剤。市販のシャンプーには何かしらの界面活性剤が使われている。なるだけ刺激性が少なく、自分に合った物を選ぶしかない。
界面活性剤は大別すると合成系と天然系の2種類に分かれる。
合成界面活性剤
高級アルコール系
・ラウレス硫酸Na
・ラウリル硫酸Na
・ラウレス硫酸アンモニウム
硫酸系の界面活性剤を使ったものは、泡立ちよく強めの洗浄力で洗った時の爽快感あり。特に成分表示で水の次にこの成分が表示されている場合は、洗浄力が強力であると思われる。敏感肌やアレルギーの人はもちろん、基本的に避けておきたい成分。
特にラウリル硫酸Naは、蛋白変性作用が極めて高く、頭皮への刺激や、キューティクルの剥離、分子量が小さい分残留性が高いなどの実験結果が出ている。
欧米のオーガニック無添加シャンプーの中には、ラウリル硫酸Naの代替として「ココアルキル硫酸Na」を使用している製品がままあるようだ。水の問題なのか、肌質の違いなのか?
石油系ではなくココナツオイル由来のものなので、ラウリル硫酸Naほどの問題はないものの、硫酸系として問題視されている。
実はアバロンがこの界面活性剤を使っていて、どうなのだろう?と思っているところだ。確かに洗浄力が強すぎる感がある。
ただ、アバロンの珍しい成分構成は、水より前にアロエベラ液汁50%が入っているところで、ココアルキル硫酸Naは4番目。
成分表示は多く使われている順に表示する決まりがあるので、大事な評価ポイントとなる。
とりあえず、香りも仕上がりも気に入っているのでしばらくはいいが、長くは使えない感あり。
若くて脂性肌の男性が時々入れ込むにはスッキリしていいかもしれない。
オレフィン系
・オレフィン(C14ー16)スルホン酸Na
硫酸系の代替として使われている。泡立ちよく強めの洗浄力、敏感肌には向かない。
界面活性剤に関してはこの程度頭にあればいいだろう。他の成分との組み合わせでも変化するものなので、一概に良し悪しは言えないが、個人の髪質や状態、好みにより判断し選ん
天然系界面活性剤
石鹸系
・石鹸素地 ・カリ石鹸素地 ・脂肪酸ナトリウム ・脂肪酸エステル
アルカリ性で洗浄力強い。洗髪中にも髪がきしみ、抜け毛が増える感あり。
乾燥・敏感肌、アトピーなどには不向き。
健康な髪質でショートヘア、ハリ・コシが欲しい人向き。
ヘアカラーやパーマは落ちやすい。ヘアオイルなどが必要。
酸性石鹸系
・ラウレスー4カルボン酸ナトリウム
石鹸系よりも低刺激
アミノ酸系
アラニン系統 〜さらさら 安定した泡立ちと適度な洗浄力、保湿力あり
・ココイルメチルアラニンNa ・ラウロイルメチルアラニンNa etc
アスパラギン酸系統 〜 すすぎ性よくサッパリした使用感
・ラウロイルアスパラギン酸 etc
グルタミン酸系統 〜しっとり
・ココイルグルタミン酸Na ・ココイルグルタミン酸2Na etc
グリシン系統 〜 洗浄力強め さっぱり ・ココイルグリシンK etc
サルコシン系統 〜洗浄力高め、脱脂性、抗菌作用あり
・ラウロイルサルコシンNa ・ラウロインサルコシンTEA etc
アミノ酸系はいくつかの系統に分かれそれぞれに特徴もある。頭皮への刺激が少なく、敏感肌やダメージヘアの人にもOK。洗浄力もありつつ低刺激。しっとりまとまりやすい髪に仕上げる。カラーやパーマのもちも良い。
アミノ酸タウリン系
・ココイルメチルタウリンNa
・ラウロイルメチルタウリンNa etc
特にダメージケアにはアミノ酸タウリン系がおすすめ。スッキリ洗えるのでボリューミーでふんわり仕上がる。
ベタイン系
・コカミドプロビルベタイン
・ラウロイルプロビルスベタイン
・ココアンホ酢酸 etc
てん菜(ビート)由来のアミノ酸系界面活性剤。頭皮に優しく低刺激、環境負荷も低い。洗い上がりはしっとりまとまる。ベビーシャンプーにも使われる。保湿・補修作用もあり。
洗浄力は弱めなので、脂性肌やスタイリング剤・ヘアスプレーを使う人には物足りないかも。ベタイン系の成分が水の次に表示されているものを選ぶ。
成分名は 脂肪酸の種類 + アミノ酸の種類 + アルカリの種類 で構成されている。
ここを把握しておくと成分名で傾向を把握しやすい。自分に合った商品を見つけたい場合には必要な知識。
脂肪酸の種類
ココイル=ヤシ油由来
ステアロイル =ステアリン酸
ラウロイル = ラウリン酸
洗浄力・刺激性ともこの順序
(高)ラウロイル ≧ ココイル > ミリストイル > ステアロイル(低)
アミノ酸の種類
グリシン 〜泡立ちや洗浄力が高くさっぱり
グルタミン酸 〜泡立ちや洗浄力は控えめしっとり
アラニン 〜安定した泡立ちと適度な洗浄力で、保湿力が高い
アルカリの種類
K(カリウム):さっぱり感が強い
Na(ナトリウム):さっぱり感としっとり感の中間
TEA(トリエタノールアミン):しっとり感が強い
その他避けたい成分
一つ目は、上質の成分を使っていれば必要がないと思われる
・シリコン
キューティクルをコーティングして滑らかにまとめるためのもので、継続して使っていると蓄積されていきベタつきの原因になる。
ノンシリコンの代わりに使われる「ポリクオタニウム-10」も同じようなもの。ノンシリコンとうたっている場合は、この成分表示がないかチェック!
基本的に、オーガニック系植物エキス主体のシャンプー・コンディショナーであれば、調べないと想像のつかないような化学物質は少ない。
成分表示のはじめの方の3、4、5番目あたりにくる界面活性剤くらいである。
2つ目は、主に静電気防止や指通りの滑らかさの目的でリンスやトリートメントの多くに使われている
・カチオン(陽イオン)界面活性剤
代表的なもの では
ポリクオタニウム-10
ベヘントリモニウムクロリド
セトリモニウムブロミド
ステアルトリモニウムクロリド
ステアリルトリモニウムブロミド
ベヘントリモニウムメトサルフェート
これも、硫酸系以上に刺激性が強いようなので、特に敏感肌やアレルギー生皮膚炎の人は避ける必要がある。
3つ目は、アレルギーを誘発させたり発がん性を疑われている
・タール系色素
4つ目は防腐剤。敏感肌の人は注意が必要。
メチルパラベン
フェノキシエタノール
ソルビン酸
ソルビン酸K
メチルイソチアゾリノン
安息香酸
安息香酸Na
エチルパラベン
サリチル酸
サリチル酸Na
防腐剤はほとんどの商品でどれかは使われている。どちらにしろ、何を選ぼうとも何かしらの問題はあるので、あとは、自分の体質と好みで選ぶしかない。
肝心なことは
なるだけ自分にとって悪影響のないものを選ぶことが必要だが、その上で肝心なのは、ひたすら同じものを使い続けないこと!
これは食べ物でも化粧品でも全てのものに言えることだが、どの商品にも何かしらの問題が隠れている。
それを蓄積して限界に達した時に、アレルギー発症など大きな問題となって顕在化するので、問題の少なそうなものをある程度候補にあげておき、ときどき変えていくことも必要だと思われる。